2018.12.09

治療家の手の作り方


鍼治療における手の作り方を学ぶ

 

学校で習う経穴部位は取穴の基礎となる必要な知識。
しかし同じ人に同じツボ、もしくは同じ治療理論を使っているのになぜ効いたり効かなかったりするのか?


この講座はそんな疑問を抱いた学生によって再企画されました。
 
講師の戸ヶ崎正男先生も過去同じ疑問を抱き研究する中で
ツボを的確に捉える「手」作りの重要性に気付き、どのようにして「その人のツボ」がとれるのかを求め、 臨床を重ねながらツボの形態別施術を体系的にまとめ上げてこられました。

今回はその内容を実技を交えてご指南頂きました!

 

 



主な内容
・鍼灸治療家として手を作ることの意義
・手作りのルーツや気の通りの良い体を作る方法
・活きたツボをとらえる触診・切経探穴
・3人同時平行実技供覧


等々、惜しみなく伝えて下さいました!


前回の内容から更にバージョンアップされており、先生の後進育成に対する熱意が伝わってきます。
また先生を迎える学生達の目も真剣そのもの!
熱心に取り組まれていて、本当に企画できて良かったと感じました(*^^*)
 
翌月には有志の触診練習会も開催予定です。
良いツボがとれるよう、続けて鍛錬!


講師 日本伝統鍼灸学会副会長 戸ヶ崎 正男先生

40年以上に及ぶ臨床経験を持ち、日本を代表する治療家。
鍼灸における「手」を作ること(あん摩技術)の重要性とその具体的な方法論を
まとめた切経探穴を説き、国内外・会派を問わず後進の育成指導に精力を注ぐ。
著書「思うツボ」「DVDでよくわかる経絡按摩」等。

GALLERY


参加者の声


講座企画者の鍼灸学生 感想

 

模索からのスタート
鍼灸学校も2年半ばを過ぎて、私は良い治療を行うためにその人にとって

必要な良いツボを取れることが最初の一歩ではないかと考えていました。
取ったツボが良くないのに、それで良い治療が実現するとは思えません。

 

しかし、基本となるツボの位置は学校で習いますが、人によって異なるツボの位置を

触知する方法まではカリキュラムとして組まれていないため

どのようにしたら良いツボが取れるようになるのか、模索を続けていました。

 

そのような中、学生交流会のOBより戸ヶ崎先生著の「思うツボ」をお借りして拝読し、切経探穴やツボの4型分類はじめ、いままでの常識を覆すような内容にとても感動しました。

 

これは是非、戸ヶ崎先生の技術を間近で見て「本物の技」を肌身に触れて学びたい、と

その場で戸ヶ崎先生の企画をしたいと交流会の方にお伝えし

講座に向けて準備する事になりました。


講演までは4か月ほどの準備期間を持ち、学生交流会の方々とMTGを重ね

講師の方とも講演内容についてメールでやり取りをしながら

無事に講演当日を迎えられるようになりました。

 

そして迎えた講演は
鍼灸治療とは何か?
本治法とは何なのか?
治療家を志す者が何を初めに念頭に置いて修行をするべきなのか?


そういった基礎の基礎であり、普段あまり気に留めることなどない、

それでいて治療家である限りは最初から最後まで向き合い続けなくてはならない

永遠のテーマに時間の許す限り徹底的に迫った非常に価値ある講演であったと思います。

 

今回の講演は初学者を対象にしながらも、決して浅いところで満足せず、

鍼灸というものの深淵に一歩でも深く踏み込もうという勢いと情熱が

会場内には色濃く漂っていると感じていました。


それは、時間の許す限りその内に秘める秘伝を惜しみなく伝授しようという

先生の熱意だけでなく、

時間と今ある知識の許す限り、その秘伝を一つでも多く自分のものにしたいという

参加者の方達の執念が一つになって生み出された勢いと情熱だったと思います。

 

最も印象に残った事は
今回3,40分という限られた時間の中で同時平行で3名もの実技供覧で

五十肩を患っている男性の治療中の事でした。


実技実演というものは鍼灸セミナー等ではごく当たり前に行われていますが

治療前と治療後に明確な変化があるかどうかは側で見ているだけの初学者や

学生にはよくわからないだろうし、もしかすると患者役になった人さえも

よくわからないこともあるかもしれません。

 

しかし、この実演は違いました。

 

先生が触診ののち用いたツボは症状が重い部位からはかなり離れたツボでしたが

たった一穴を選んで10壮程施灸されました。
そしてその男性に肩を動かしてもらったところ肩の可動域が顕著に改善されていて

私や学生はじめ、臨床に出られている先生からも驚きの声が上がりました。

 

その治療の成果は、先生が決してごまかしではない

真の医術を私たちのために披露してくれたことに対する

確たる証拠であると感じ、その姿勢は深く私の心に刻まれました。


そして限られた時間の中で惜しみなく、少しでも多くの技術を伝えようとする情熱

また学ぼうとする情熱が実を結び、興奮と感動の中で講演が終了となりました。

 

最後に・・・
数ヶ月ほど前に、臨床家として名高い先生が学校に招かれて特別講義をされた際に

私にとって最も印象に残ったのが「ケチなやつはうまくならない」という言葉で

当時はその言葉の意味が良くわかりませんでした。


しかし企画が実際に現実のものとして参加者の方々に提供できた今となっては

その先生が言った言葉の真意を多少なりともわかるようになったと思います。

 

「誰よりも時間と労力を惜しまない人は、誰よりも多くのものを得られる」

ということなのではないかと。


確かに、誰かがこのような講座を企画してくれたものに参加すれば

多くの時間を自分の好きな事にあてられたかもしれません。

 

しかし、過程の中で戸ヶ崎先生の書籍を深く読み込み

講座の準備に真心を注いで準備した分

この講座や準備期間を通して得られたものは

ただ参加して学ぶ講座よりも得難いものだったと確信します。


このように実際に自分で企画立案して、それを実現できる機会を提供してくれた

東洋医学学生交流会にとても感謝しています。

 

2018.12